儚く散り逝く

想いならば

焔に焼【く】べて 天【あめ】へと還せ









己貫く刃となる前に

calling...

所在なさげな指先のために

携帯電話を取ってみる

電話帳を一から眺めて

テキトーな人でカーソルを止めて

発信ボタンの上に親指を乗せかけて

やめる

気の知れた友人でも

むしろ

気の知れた友人だからこそ

その時間が惜しまれて

結局 夜闇を友とする

冷たい空気に 鼻先冷え

手を擦り合わせ

行き交う車のヘッドライトを見送って

歩く


明け往く空を待ちながら



鳴らない鳴らさない携帯電話を握り締めて

明け透けたコトバ

そんなモノは要らない


深く重みを持った 確かな存在だけが

ワタシを引き留める 最期の手段

積夜

どうやって 冷静にココロ鎮めていたのだろう

どうやって 夜を躱【かわ】してきたのだろう



どんなにバカみたいに騒いでも 空しさばかりが募って

どんなに呆れるほど語り合っても 虚しさばかりが募って



空虚でないモノが 溜まってゆく



言問ひの勇気が湧いても

砕ける覚悟は無くて

逡巡するだけの己を 嘲笑う 果てない繰り返し





積もる雪を どうしたら 解かすことができるのでしょう


氷塊となりゆく淡雪の 事終はりし日は 遙か空明の向こう

瞼を閉じて

逢いたいと泣くアタシ

遇いたくないと啼くワタシ

アナタにとっては どちらも滑稽なのでしょうね