爪と牙

ワタシでない誰かへ向けて優越感やある種の快感を得たとしても

それは一時の幻覚で

その代償は 限りない 苦痛と罪の意識


だから

この爪もこの牙も

もう ワタシに向けるしかないのです

ワタシでない誰かに向けてしまわないように

皮膚に喰い込ませて

それを見せないように

微笑という名の沈黙を唇に飾って

ある日の黙示録 4

ねぇ、たたさま。

あなたのまなこは、とうとう、子供【ワタシ】をうつしてはくださらなかったのですね。

ある日の黙示録 3

此処から動いてはなりません。
その手枷、足枷、首枷を外すことは許されません。


真実を檻に匿いなさい。


檻が壊れてしまった、その時は、その手で屠りなさい。

ある日の黙示録 2

電話の先から聞こえる声【おと】なんて、所詮、電子音でしかないのよ。

ある日の黙示録 1

黙りなさい。

痛かろうが淋しかろうが、泣こうが――結局、周囲からしたら、お前の身勝手でしかないのよ。

お前の意思表示など、必要ないのよ。